広大な断崖と砂浜が広がる新島
入り組んだ海岸線と美しい砂浜の式根島
絶景を探しながら二つの島をめぐり写真を撮るサイクリングフォトツアー
大きな手荷物やリュックを背負った人々が、スーツ姿のサラリーマンに逆行するように駅から出てくる。金曜の竹芝は、私の想像よりはるかに活気に溢れ、旅の期待を膨らませるに申し分ない雰囲気に満ち溢れている。
旅が『非日常』に触れる行為であるならば、船に乗るという行為は非日常の最たるものであるかもしれない。
『船に乗って旅をする』たったそれだけのフレーズで心が踊り始めるのは多くの人に共感してもらえる部分なはず。思ったより大きな汽笛の音に驚きつつ、甲板に出ると船が徐々に港から離れつつあった。
周りには、先ほどまで日常にあった、ビル群の明かりが見える。「さて、旅に出ようか」船上からみるビルの灯りはすでに非日常の景色に変わっていた。
大島、利島と経由して新島にいよいよ上陸。まだ午前中で朝の風が心地よい。ここ新島では島の中心部の比較的平地のエリアを半日かけてぐるっと回る。島で採掘されるコーガ石を作ったアートオブジェ群や親水公園、木漏れ日が溢れる農道、6kmに渡って続く断崖と白浜の海岸など見所が2時間半ほどのコースの中にギュッと詰まっている。
写真好きには思わずカメラを向けたくなるような景色が点在して、何度も立ち止まりながら進んでいく。
DE01はスタート時にかかるアシストが自然になるように調整されているので、重くもなく、急発進もなく違和感を感じることなくSTOP and GOできる。まさにポタリングの最高のパートナーといったところである。
船で上陸した港とは反対側、島の東側には7kmに及ぶ砂浜の海岸線が広がっている。ヘリ下から訪れるとその海岸線を15mほどの高さの絶壁の上から目にすることになる。忽然と現れる青と白の色合いと規模感にしばし言葉を失い、気持ちが高ぶることだろう。砂浜に降りると緩い弧を描いて海岸線が奥まで続き、並行するように断崖がそびえ立つ。カメラを向ければ全てが絵になる。絶景は数あれど、見渡す限りが絶景というのは、なかなか出会えない。
自転車を抱えてまで海岸に下りるのは今回のツアーならではだろう。DE01は写真好きの開発スタッフが写真に写りこむことを前提にしてデザイン開発している。何もない砂浜にポツンと置くだけでも絵になる。
なだらかで、ゆったりとした道が多かった新島に比べ、式根島は小さいが起伏に富んだ島だ。海岸線は複雑な入り江を形成し、島内も大小の急坂がそこかしらに点在する。そんな時はやはりアシスト自転車の恩恵を最大限に感じることになる。アシストパワーを引き出すコツはゆっくりと走ること。ゆっくりと走ると周りの景色も自然と見えてくる。
都内などとは全く違う島時間の中で旅するのに自転車というのはすごく相性のいい乗り物なのかもしれない。観光地を巡るのではなく、自分のペースで気が赴くままに移動して立ち止まる。
そんな島時間と日常の間に船旅は存在している。今回のツアーでは乗船中は基本的に自由時間で思いおもいに過ごしつつ、写真のワークショップを行ったり、酒を酌み交わしたり、夕日を撮影したりして過ごした。
折りたたみ自転車は、たたんで輪行バッグに収納すれば、手荷物として乗船することが可能だ。いつもの自転車で非日常の旅に出る。日常のすぐ近くに自転車旅行は存在している。